8月下旬、『DEVILMAN crybaby』のアフレコが終了した。アフレコを終えたばかりの、内山、村瀬両氏に、『DEVILMAN』体験を振り返ってもらった。その一部をここで紹介する。
村瀬いや、楽しみではあったんですが、もう大変でしたね(笑)。原作を踏まえつつも、大河内(一楼)さんの脚本や湯浅(政明)監督のビジュアルだったりが研ぎ澄まされているので、「収録、楽しみだなぁ」って現場に行って、「収録、疲れたな……」って帰ってきて。また「楽しみだなぁ」って現場に行って「疲れたな……」っていうふうに、短いスパンでそれを繰り返していた感じでした。
内山僕は今、「終わったー」という開放感でいっぱいですね。「夏休みが来た!」みたいな気分です(笑)。産みの苦しみというか、結構大変なお仕事でした。
村瀬毎回叫んでいたしね。
内山うん。そういう物理的な負荷が体に掛かる大変さもあったし、それ以上に、精神的にハードで、そこに身を投じるというか、そういうものを体に刻んでいくと、気持ちも自然と閉じてくるというか、知らない間にそういう精神状態になっていることがあって。特に後半の内容は、ハードで、体も心もそういう状態だったので、本当に「終わった」という気持ちです。
村瀬了は使っている言葉も難しかったんですが、一番苦労したのは、自分の感情にあまり荒波を立たせ過ぎないようにするところでした。だから感情をストレートに表現できないもどかしさみたいなものがあって、日によって「あ、今日は了の気持ちにかなり近づけた」という日とそこまででもない日がありました。了は、精神や肉体が刻々と変化していくので、その変化にちゃんと追いついていくのも難しくて、演じながら「あ、ちょっと追い越しちゃった」とか「今はちょっと足りていなかった」っていうことがあって、ディレクションで細かくチェックを受けながら演じていました。
内山英語のセリフもあったよね。
村瀬英語のセリフも大変だった(笑)。英語でアジテーションするシーンがあるんですが、了の声は僕の中でも低い方で演じているので、そこでアジテーションになるようにポイントになる英語の単語を押し出していくのは、かなり苦労しました。
内山いや、タイトルを知っているだけでした。だからこのお仕事のために読んでみて「とんでもないマンガだな」と。特に物語後半の畳み掛けるように、不動明の周囲の人がどんどん惨殺されていくくくだりは、凄まじい展開でした。
村瀬僕も似たような感じでした。今回、初めて読ませていただいて、前半は悪魔が残虐な感じで描かれていたのが、後半は人間のほうが残酷だというふうに描かれていて……。永井先生が27歳の時に描かれたと聞いて、どういうインプットがあればこんな作品が描けるんだろうって、圧倒されました。
内山すごいよね。牧村家襲撃のくだりは、本当に。
村瀬怖かった。
内山襲ってくる暴徒も恐ろしいんだけれど、それに対してヒロインの(牧村)美樹もしっかりやりかえしているし。さらに研究所とのカットバックがね……。
内山ずいぶんと濃い全10話だったから……。
村瀬デビルマンになる前と後で(不動)明がガラっと変わるのは印象的でしたね。
内山完全に別人だよね。
村瀬デビルマンになる前の明はむちゃくちゃかわいいんですよ。
内山キャラクターデザインも全然違うしね(笑)。だから僕としてはこの最初の不動明、それにデビルマンに完全に変化した状態という風に、それにデビルマンと、全10話の中で3キャラクターも演じた感じで。本当によく働いたなあと思っています(笑)
村瀬(笑)。
内山とにかくかわいく、と(笑)。誰からも愛されるような天真爛漫な感じで、というお話でした。
村瀬それもあってデビルマンになるところは、ビジュアル込みですごくインパクトあったし。
内山いや、実は僕、了役でしかオーディション受けていないんですよ。不動明のセリフをひと言も発さなまま連絡がきたので、本当に驚きました。だから不安は不安でした(笑)。ただ音響監督の木村絵理子さんとも、湯浅監督ともお仕事をしたことはあったし、絶大な信頼を置いている方々なので、このチームが決めたことならば、もうそこに乗るしかないなと覚悟を決めました。