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SPECIAL

『DEVILMAN cry baby』製作日誌 Production Notes

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「あのラストシーンに向かっていくんだ」
永井豪(原作)+湯浅政明(監督)
スペシャル対談@アヌシー

6月中旬にフランスで開催されたアヌシー国際アニメーション映画祭。そこにそれぞれ参加した湯浅政明監督と原作・永井豪先生のスペシャル対談が実現! 対談は、湖畔のレストランで、シャンパンを飲みながらのリラックスしたムードで進んだ。その一部を抜粋して紹介する。

湯浅永井先生、改めて50周年おめでとうございます。

永井ありがとうございます。今回コンペに出ている湯浅監督の『夜明け告げるルーのうた』、見ましたよ。湯浅監督のタッチはフランスで受けるな、と思いましたね。通訳の人も、そう言ってました。

湯浅そうですか。永井先生が押してくれるなら、もう誰も異論は唱えられないですね(笑)。

――永井先生も『マジンガーZ』の新作でアヌシーに来られているのですよね。

永井はい。ギレルモ(・デル・トロ)監督にもPVを見てもらいましたけど、3DCGになったマジンガーのディテールがいいと喜んでくれましたね。

湯浅絶対、フランスの人は、永井先生、『マジンガーZ』もどちらも好きでしょう。僕も子供の頃は、自分でオリジナルのロボット描いて、マジンガーZと戦わせていたりしました(笑)。そういう意味で永井先生の影響から逃れることはできないんですよ。刷り込みみたいなもので、「影響を受けた」とあえていうまでもないぐらい染み付いてるものなので。『マジンガーZ』、『デビルマン』、『キューティーハニー』……短編もすごく好きで。僕は『くずれる』大好きなんですよ。

永井『くずれる』、好きな人は初めてですよ(笑)。

湯浅あれがすごく好きで、みんなそうだと思っていたら、そうでもなかったという(笑)。短編の傑作と思うんですけど。

永井うれしい。『ススムちゃん大ショック』はよくいわれるんですけどね。

湯浅それも傑作だと思うんですが、『くずれる』はどんでん返しというかラストが印象的で、そこに人間の心理的なものが入っているのがよくて、いろんな解釈ができるんですよね。

永井当時は読者に理解してもらえるかな、なんて思って描いたんですけれどね。

――『DEVILMAN crybaby』の本読み(脚本打ち合わせ)の現場でも、湯浅監督からは永井先生の短編の話が出ましたね。

湯浅そうですね。

永井手塚先生に「短編を描かなくちゃダメだ。短編を描いていると、それが長編で役に立つ」といわれたんで、依頼があったら断らないようにしていたんです。

――湯浅監督は原作の『デビルマン』といつ出会ったんですか?

湯浅TVアニメの方は、小さいころ親戚の家で見てた記憶はあるんですけど、おばさんから「怖いから見ちゃダメ」と言ってチャンネル変えられたんです(笑)。

永井(笑)

湯浅それで、更に過激なマンガ版を手にとったのは高校時代になってからなんです。当時、美術部とは名ばかりの部活で、マンガとかアニメの話ばっかりしていたんです。それで初めて読んだんですけれど、当時はその意味がわかるというより、「何かすごいことが起きている」という強烈なインパクトを受けましたね。ただただショックで「これはTVで見れないヤツだ」と当時は思いました(笑)。

永井(笑)。TVの脚本やられた辻(真先)さんには「こんな悪魔が毎回現れて戦います」なんて説明したんですけど、ぜんぜん違う話を描いちゃいましたからね。もっと大人っぽい話にしようと思っていたので。

湯浅最初からそのつもりだったんですね。

――今回湯浅監督が『デビルマン』を引き受けた理由というのは……

湯浅あの衝撃のクライマックスやラストーシーンをちゃんと描けるかどうか……という気持ちもないわけではなかったんですけど、それ以上に「ほかの人にやられるぐらいなら自分で作りたい」と思ったんです。「好きなマンガを挙げろ」と言われたらはずせない作品ですから。それだけに今、制作していて苦労も多いんですが。

永井そうなんですか。

湯浅しかし見通しはたってきました。だけど最後まで予断を許さないので、気を抜かない感じで(苦笑)。

永井僕としては、どんなに変えていただいても大丈夫ですよ。

湯浅ありがとうございます。基本的には「あのラストを描くんだ」という気持ちで、そこへ向かっているところです。


対談は、永井先生から『デビルマン』が生まれるまでのエピソードが披露されたほか、今回脚本を手掛けた大河内一楼さんも途中参加し、さらに盛り上がった。その全貌はまたいずれ何らかの形で発表する予定!
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